[JIC010] 鈴木絵里1,2、井上潤一1,3、宇佐美論2、大熊盛也

シロアリ腸内共生原生生物における解糖系酵素遺伝子群の系統解析
第23回微生物生態学会講演要旨集, 2008

【目的】シロアリ腸内の共生原生生物はセルロースを効率よく分解し、エネルギーを生産している。その代謝経路の解析によりセルロース資源の有効利用にとって重要な知見が得られる可能性があるが、共生原生生物は難培養性のため詳細は解明されていない。本研究では共生原生生物の代謝機構を明らかにすることを目的とし、エネルギー生産に重要な解糖系遺伝子の解析を行った。【方法】イエシロアリ腸内の共生パラバサリア門原生生物のメタEST解析により解糖系10ステップのうち8ステップの酵素遺伝子群の配列を得た。マイクロマニュピレーションにより分取した原生生物の全ゲノム増幅産物及びcDNAを鋳型として、取得配列に特異的なプライマーを用いたPCRにより各配列の由来原生生物を決定した。各酵素遺伝子について最尤法による系統解析を行い、さらにパラバサリア門内の目間の系統関係に注目してLikelihood Mapping(LM)解析を行った。【結果・考察】本研究で解析を行った解糖系酵素遺伝子配列は全てゲノム配列が解読されたパラバサリア門原生生物Trichomonas vaginalisと単系統性が示された。このうち少なくとも3ステップの配列は細菌と比較的近縁であり、共通祖先への水平伝播が示唆された。LM解析は各酵素遺伝子で異なる結果となり、門内の目間の系統関係の推定は困難であった。共生原生生物の酵素にはATPの代わりにピロリン酸を利用するものもあると推定され、エネルギー獲得に有利であると考えられた。

論文番号:JIC010