[JIC002] 井上潤一・矢崎伸一・大槻隆司・宇井定春・三村精男

干潟複合微生物系モデルを指標とした森林、干潟の微生物生態関連性の解析
日本生物工学会2004年度大会要旨集, ページ, 2004

[目的]干潟は陸と海の水域を繋ぐ場であり、その汽水域としての複雑な生態系は、数多く微生物の活躍する場を提供している。我々は森林・河川、干潟の生態系に注目し、森林が干潟微生物相に与える影響、干潟微生物相が海洋に与える影響の解析を行い、汽水域、干潟の生態学的な役割を提示する。[方法及び結果]森林土壌から分離した原始フミン酸は、CEC(カチオン交換容量)が171-191meq/kgであった。森林土壌より原始フミン酸を分解する真菌8株を分離し、このうち3株による変換で得られた干潟有効性フミン酸はCECが364-412meq/kgに増大した。原始フミン酸と干潟有効性フミン酸を、干潟より分離した藻類を含む複合微生物系ES-10に添加して培養し、クロロフィル-a量を生物生産性指標として動態解析を行った。原始フミン酸は増殖を扶助した。これらの結果から、微生物変換フミン酸と結合したミネラルは、干潟微生物活性化の重要な要因であり、干潟生態系は、河川上流の森林微生物作用の影響を強く受けることが明らかになっった。また、各地の汽水サンプルのCOD、鉄分濃度の測定を行い、ミネラル、有機物間の相互作用と海洋生物生産性の関係の実態調査を行った。高COD、低鉄分濃度の汽水域は、微生物による光合成能力が高かった。干潟有効性フミン酸変換菌種、干潟複合微生物系の生物生産性変動、干潟有効性の高いフミン酸とミネラルの関係、等について考察する。

論文番号:JIC002